【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第1章 灯の明かり、月の誘い
【十四松】
《───僕は兄と弟がいた。
クズでどうしようもない兄と。
無邪気だけどどこか悲しい表情を浮かべる弟が二人。
楽しい日々だった。
この日々が、ずっと、ずっと続けばいいのに。
だけど………
彼は僕らを裏切った。
僕は泣いた。
そして決めた。
兄さんを助ける為なら、僕は────────》
……ここで日記が途切れている。
最後の文字だけ、聖水か何かで、文字が溶けていて読めない。
これ、日記だよね?
チョロ松兄さんの部屋にあった分厚い一冊。
分厚いけど、中身は楽しい思い出が詰まった日記で、見てて僕も懐かしく思えた。
最後のページを除いて。
…チョロ松兄さんの書斎に戻して来なきゃ。
バレたら絶対怒られる。
バレる前に────────
「十四松」
この日、生まれて初めて、チョロ松兄さんを怖いと思ってしまった。