藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第23章 ♡Story70♡ ココにいるキセキ
「1週間、持つかどうかでしょう……」
「「っ……!」」
「……。」
周りが驚きの表情を見せる中、百合だけはじっと宏太の言葉を聞いていた。
「っおいおい薮、せっかくめでたいって時にそんな話するかー?(苦笑)」
「もちろん、僕だってこんな話はしたくないよ。
でも、医者としては伝えないといけない……百合さんは、
もって1週間の命だと思ってください……」
「はい……だって、未だこうして赤ちゃんを産んだ状態でも生きているんです。
これだけでも、十分でしたから……私は、大丈夫ですよ?」
「……。」
「それに、1週間もあるんだから結婚式も十分に挙げられるでしょ?
今日は2日で、長くても9日までは生きられる……ゆりと過ごせる時間も、
もらえる……こんな私は恵まれているよ……」
「っ百合……」
太輔は百合を抱きしめた。
「……太輔、招待状とかまだだよね?」
「あぁ……でも後は、名前と日にちを入れるだけだ……」
「そっか……じゃあ、7月7日に、挙げようか……私たちの、結婚式……」
「っ……」
「本当だったらこの日にゆりが生まれる予定だったのにねー(苦笑)
誕生日は七夕になるかなって思ったけど……2日になっちゃった……」
「でも、ゆりは無事に生まれてきた……お前は、本当によく頑張ったよ……
あとは、悔いのないように生きよう……」
「うん、そうだね……」
お互い抱きしめ合う二人、そんなふたりを病室にいた人達は涙を流していた。
「っ百合……」
「っ有希子……」
有希子は裕志に肩を抱かれながら静かに涙を流していた。
「ぅっ……うぅ……」
「裕太くん、大丈夫だよ……」
すすり泣く裕太の背中を摩る友輔。
「っ太輔……百合さん……」
太重もまた、涙を流していた。
そして光と宏太もつられるように涙を流していた。
「っ……百合ちゃん…親分……」
「光、みっともないぞ……僕たちは、医者なんだぞ……」
「っだって……」
「っ……」
「っ皆さん……」
様子を見に来た慧、慧は静かに病室の外から見守っていた。