藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第23章 ♡Story70♡ ココにいるキセキ
消毒室に案内された太輔。
「……八乙女、」
「はい?急にどうしたんです親分(笑)
これから百合ちゃんの出産なんですよ。」
「うあぁぁぁぁぁ!!」
隣の分娩室からは百合の苦痛に耐える叫び声が聞こえてきた。
「っ……」
今まで百合の叫び声など聞いたことのなかった太輔、
痛ましく感じる叫び声に思わず顔を逸らした。
「……見るの、辛いって思うかもしれないですけどこれが出産というものなんです。
お父さんは、しっかりとお母さんの手を握って支えてください……」
「っわかって、る……少し驚いただけだ……」
「いやあぁぁぁ!!」
「玉森さん落ち着きなさい!深呼吸をしっかりして!
ひっひっふー、ひっひっふー…よ!」
「っひっ…ひ、ふぅ……ひっひっ…ふぅ……」
「弱い!もっと力んで!」
「やっぱり、病気を患い体力もほとんどない状況じゃ厳しいか……
準備も整いましたし、僕たちも行きましょう。」
「……。」
分娩室に入ると数人の看護師と汗をかき苦しい表情を見せる百合がいた。
「っ百合……」
「っ……太、輔……?」
太輔は百合の手を握り……
「俺はここにいる、だから頑張るんだ……ずっと、この手を離さないから……」
「っ……うん……!」
「まだ全然頭が見えてこないな……百合ちゃん、
辛いかもしれないけどもう少し力もうか。それだと赤ちゃんの頭すらも出てこないよ。」
「っ……は、い……」
「よし、んーーーーっ!……って、力んで。」
「んーーーーっ!!んーーーーっ!!!」
「っ先生、今頭が少し見えました!」
「よし……その調子だよ。
もし辛くなったらひっひっふーだよ?」
「っはい……んんっ!んーーーーーっ!!」
「百合……頑張るんだ……」_ぎゅっ…
太輔は握る力を強め、少し暴れ始める百合を抑えた。
「っああああ!!痛いっ!痛いよっ!!」
「っ百合!……落ち着くんだ、百合……」
「ひっひっふー……ひっひっふー……」
「よし、その意気だよ。
佐藤は顔の汗を拭いて。」
「はい。」