藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第19章 ♡Story66♡ 最後のお仕事、新しい命
「太輔くん……」
「……。」
「俺といるより、家族のところにいたほうが安全だ。
俺は……できるだけ百合に元気でいてもらいたい……その為にも、
実家に戻ってくれないか……?」
「っ……太輔は、太輔は、寂しくないの?
私がいなくて……」
目に涙を浮かべる百合。
「っんなわけ……んなわけ、ねぇだろ……俺だって、寂しいよ……毎日、
百合といたいって思ってる……」
「っ……」
「……百合、」
有希子は百合の肩に手を置き……
「……家に、帰ってきなさい。」
「っ……お母、さん……」
「今まで言えなかったけど……私たちは貴女に戻ってきて欲しいって、
心の奥で思っていたわ……ただ、貴女があまりにも太輔くんを愛していたから……
帰ってきて欲しいって、いえなかったの……」
「っ……!」
「……百合、家族のためにも……家に帰るんだ……」
「っ……ぅん……ごめん……ごめんなさいお母さんっ!
私……自分のことばっかり……お母さん達の気持ち、
ちゃんとわからなくて、ごめんなさい……!」
「いいのよ百合……貴女にガンが再発しなければずっとこの生活を
続けていいって思っていたの……ただ、
もうガンが再発してしまって、貴女の寿命は1年もない……」
「っお母さん……」
百合を抱きしめる有希子。
太輔はその様子を見守るかのように見つめていた。
「……裕太も、お父さんも喜ぶわ……」
「っうん……」
「今日は、貴女の好きなご飯を作るわ……」
「うん……!」
「……太輔くん、」
「ぇ……あ、はい……」
「そう言ってくれて、ありがとう……」
「っいえ……当然のことです。百合との時間を、大切にしてください……」
「えぇ……それで、私からひとつ提案があるの。」
「ぇ……?」
「……?
お母さん……?」
「太輔くんも……私達の家に、来てくれないかしら?」
「っ……ぇ?」
「お母、さん……?」
「……。」