藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第18章 ♡Story65♡ 久しぶりのデート
蒸気船マークトウェイン号に乗り込んだ二人。
「やっぱ船っていいよねぇ……凄く、落ち着く……。」
「そうだな……。」
_とん…
百合は太輔の肩に頭を乗せた。
「どうした?疲れたか?」
「ううん……こうしていたいだけ……ねぇ太輔?」
「なんだ?」
「最近、時間が経つのが早く感じるの……なんか、
このまま一気に死に向かっているんじゃないかって、怖いの……。」
「百合……」
「こうして太輔と過ごせる時間も、段々と少なくなってくるし……」
「……今からなら、間に合うんじゃ……ねぇか?
延命治療……」
「ううん、延命治療は受けないよ……みんな、納得してくれたのに……
簡単に覆すわけにはいかないの……私は、今あるこの命を全うする……。」
「……そっか……」
「太輔、やっぱりまだ納得してない?」
「……お前が決めたことだ、俺はそれを受け入れている。
ただ、ちょっと期待しただけだ……お前が、好きなように生きればいい……
最期まで、俺はお前といる……。」
「ありがとう……その言葉だけでも、すごく嬉しいよ……」_チュッ…
百合はそっと太輔にキスをした。
「……こんなとこで、して大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ……周りの人も、特に私のことには気づいてないから……」
「そっ……」
「私、今度のTGCで芸能界を引退しようと思ってるんだ……」
「……いつなんだ?」
「11月3日、わりとすぐでしょ?」
「今から数えると、1ヶ月もねぇな……。」
「うん、だからモデルーキーも今月いっぱいで終わり……次の撮影が、最後かな……
RABBITも、11月号を撮り終えたら終わり……区切りよく、
クリスマスまで粘ろうかなって思ったけど……体力的に限界が来てるの……
文化祭も、あるしね……。」
「事務所側も、承知してるんだな?」
「うん。だから、TGCが終わったら私はまた一般人に戻るよ……。」
「わかった……。」
こうして蒸気船マークトウェイン号を乗り終えた二人、
まだ閉園時間ではないが百合の体力を考え
パレードは鑑賞せずホテルに戻ることにした。