第16章 ♡Story６３♡　思い出した約束、そして…

「……そっか、そうだよな……でも、ありがとな。」



「別に……ちょっと、先生と九条の雰囲気がイマイチだし……
百合だって、いい気分にならないだろうからさ……ちょっとでも、
アンタらふたりがほど良い関係になってくれたらなって思ってるだけだよ……」



「相変わらず、百合思いだな……」



「そりゃあ、幼稚園からの付き合いですもん……それに、
俺のほうが先に百合を好きになってたしな……」



「……。」



「きっと、九条だってちゃんとわかってくれますよ。
俺だって……ちゃんとこうして先生を信頼できるようになったんだ。
九条だって、きっと……」



「陸……」



「でも、アイツだって本気なんですよ……」



「そうだな……」



「でも、先生があそこまで感情的になるなんてびっくりですよ。
他の事で、トラぶった？」



「っいや……なんだろな、百合の病気を知ってから……
なんか急に独占欲的なのが出てきて……」



「変に異性と仲がいいと神経質になっちゃうとか？」



「かも、な……百合も、どことなく九条ばっかり庇ってって……」



「……百合にもそこそこの原因がありそぉ……(苦笑)」



「やっぱり、百合は九条のことを庇い過ぎなのか……？」



「まぁ……学校ではいたって普通ですし……ただ、
最近は変に九条の方が積極的で……百合自身も断れないと思うんですよ。

百合、九条との約束を果たさきゃって……思いつめてると思うんですよ。
死ぬ前に、その約束を思い出したいって……だから、変に断れないんですよ。
あくまで、幼馴染の友人として……」



「……。」



「それに、九条に対してあそこまで出来るのは……
先生を信頼してるからだとも思うんですよ。」



「……信頼？」



「そ……アンタを信頼しているから、きっと九条の事を分かってくれる……
そう思っているから……先生が、理解してくれると思っているから……」



「……。」
(百合……)



「それに、百合が心から愛しているのはアンタだけなんだぜ？
先生は、百合を信頼している？信頼してないから、
変に心配しちゃうんじゃないの？」



「……。」