藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第16章 ♡Story63♡ 思い出した約束、そして…
太輔は百合に謝るため、大広間に戻ってきた。
百合をあちこち探すが、百合の姿は見受けなれなかった……。
「っ百合……どこにいるんだ……」
(まさか、またどこかで倒れているんじゃ……)
太輔は一瞬にして不安になった。
「先生?どうしたんっすか?」
「っ陸……」
陸は太輔の後ろにいた。
「先生、もしかして……百合を探してんの?」
「っあぁ……どこに行ったか、知らねぇか?」
「さっき、3階にあるバルコニーに行きたいって言ってたんで、
多分ここにはいないと思いますよ。」
「そっか……ありがと、」
「……先生、九条のことで色々百合と口論かなにかして喧嘩しちゃった?」
「っ……」
「まぁ、前にも言ったように百合はさ……
昔から九条を放っておけないって感じだからさ……」
「……。」
「……それに、九条もさ……昔の、約束に囚われてるし……少なからず、
九条の気持ちを分かって欲しいんですよ……。」
「アイツ、の……?」
「はは…先生も、相変わらず九条を毛嫌いしてるんですね……アイツもですよ(苦笑)」
「……。」
「もちろん、九条と約束でどんなことかは言えないけど……
九条にだって九条なりの事情があるんだよ……」
「……。」
「まぁ、正直に言えば今の九条は前までの俺と同じで……アンタのことが嫌いだ。」
「……。」
「九条の気持ちを、俺なりに代弁するとさ……
九条にとって、先生はいきなり現れた知らない奴なんですよ……
自分の方が、百合を知ってた。
自分の方が、先に百合を好きになっていたのに……なのに、
いつの間にか知らない奴に盗られていた。
自分が、先に百合と約束していたのに……って、」
「っ……」
「……先生が、あの時教育実習生として俺らの前に現れなければ……きっと今頃、
白馬の王子とその王子を待つお姫様になってかもしれませんもん……」
「っ……それが、ふたりのした約束なのか?」
「……どうだろ、あくまで俺の解釈だし。
これ以上……九条のことは言わない。約束は、破りたくないし……」
「……そっか」