第13章 ♡Story６０♡　カミングアウト

「……では玉森さん、先程引退理由は2つあると言いましたが……
そのうち一つというのは？」



＿ｺｸｯ「実は、白血病を患っているんです。」



「っ白血病……」



「はい。元々、小学生の時に患ったものなんですけど……今年に入ってから、
ガンが再発しているということがわかったんです。」



「っ治療のほうは……？」



「延命治療を受ける選択肢もありました。ですが、
私は延命治療は受けないことにしたんです。」



「っなぜです！？」



「……私の病気は、永遠に治らないんです。
それに、私は元気なままで……一生を終えたいんです。
これが、今の私の気持ちです。

もちろん、ファンの方はこれだけの理由で納得しない方が大半だと思います。

けれど、私はそれを望んでいます……なので、
ご理解の方をお願いします。

これからも、今までどおり応援してくださると私も今後の励みとなります。」



「っ……初っ端から、なかなか衝撃的でしたが……
癌は現在どこまで進行しているんですか？」



「既に半分近くは浸潤しています。ですが、
薬を処方してもらっているので進行は和らいでいる方です。
でも、延命治療を受けない限り……私は、1年内にこの命がなくなると思います。」



「っ昨年輝かしくモデルとしてデビューを果たし、
現在は人気タレントにまで上り詰めた期待の新人とされている彼女、
これからもまだまだ飛躍続けるかと思いましたが突如の引退宣言、
このあとは彼女の輝かしい記録をVTRと共に見ていきます。」



「VTRまで作ってくださったんですか？
楽しみです(微笑)」



「もうひとつの引退理由はVTR後に発表です。
ではまず、こちらのVTRをどうぞ。」





VTRは百合がモデルになるまでの経緯から現在までの



活動がまとめられたものだった。





『玉森百合さんは事務所社長に直々スカウトされこの世界に入りました。
そして、5年連続人気ナンバー１雑誌として君臨する【RABBIT】に
堂々と表紙に初登場し、同じく人気モデルである兄・玉森裕太さんの妹としても
大きく注目され華々しいデビューを飾りました。』




「うわぁ……何だろ、凄く懐かしいです(笑)」



「初登場とは思えないくらい堂々としていますね。」



「いやぁ(照笑)」