藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第12章 ♡Story59♡ 溢れる気持ち
CMが終わり、A.N.JELL最後の曲へと入った。
『最後は、僕が主演する映画SECRET✵NIGHTの主題歌『ふたり』です。』
『映画には俺たちもちょこっと出るからよろしくね~♪』
「……ドラマ自体、ふたりを物語っている感じですから……なおさら、
思うんですよね……」
「……。」
『さぁ、最後まで盛り上がっていくぞ!』
『聞いてください!『ふたり』!』
それぞれ楽器を構えた4人、
「きっと、まるで自分のようだって……思いますよ……」
宏光はイヤフォンをスマホに挿し、片方を太輔、もう片方を渉に渡した。
「北山先生は、いいんですか?」
「俺は小夜が録ったやつで見ますから(笑)
ほら!曲が始まっちゃいますよ?
あ、マスター!このカクテルもう一杯ちょうだい!」
「かしこまりました。」
イヤフォンを耳につけるのと同時に、曲の前奏が始まった。
『それは恋じゃない そうごまかしても
ぼくの胸はまた ざわめきはじめている…
視線そらしても 背をむけてみても
消えないよ その笑顔浮かんで…』
「っ……!」
俺は最初、ひたすら百合のことが好きじゃないと
自分に言い聞かせていた……
でもそれはただの逃げで、自分をごまかしていただけだった。
『何だかんだで彼女に惹かれてるんじゃないですか?』
俺前々から好きだったにも関わらず、素直になれず……
当時の百合と陸を傷つけた……。
『ほんとは気づいてた こんなに愛してた
眠れない夜は ぜんぶ君のせいだよ
今まで迷ってた それでも想ってた
変わらない気持ち 今なら言い出せそうで…』
あの時、俺が気持ちを伝えていなければ今頃はどうなっていたのだろうか……
百合と陸がヨリを戻したのか……または、
九条と結ばれていたのだろうか……
『君のまなざしが 遠ざかるほどに
苦しいよ 素直になれなくて…』