藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第10章 ♡Story57♡ 嫌いな敵
『約束を、思い出して欲しいって……』
『約束があったなら、
私はそれを果たさないといけないんじゃないかって……』
あの時、百合が言ってた約束と同じ……?
「あぁ……転校する時に、百合と二人だけでした秘密の約束……
俺はそれを果たす為にも、この街に帰ってきた……
だから、ここで簡単に引き下がるわけにはいかねぇんだよ。
後から入ってきたお前に、とやかく言われる筋合いはない……」
「……。」
ふたりがした約束って……何だよ……
でも、俺だって百合とした約束がある……
俺らは何があっても離れない……
俺が、百合を守るって約束した……
今首にかけているネックレスだって……その証だ。
この約束がある限り……俺達は……
「お前らの関係がどこまでいったかなんて気にしない。
ただ俺は、百合を振り向かせる……お前には、
絶対負けない……」
宣戦布告か……
でもなぜだろう……そこまで焦りはない。
今までも似たような展開を何回かした経験のせいだろうか……
絶対負ける気がしない……。
お前ごときに……負けるはずはない……
「……百合は絶対、お前のところにはいかない。
断言する……」
そう、百合はコイツのところに絶対行かない……
「……。」
「……。」
太輔と和真の間には長い沈黙が生まれた……そんな時、
「ふわぁ……あれ?
二人共、来てたんだね……ごめん、すっかり眠っちゃったよ……」
「「っ!?」」
ふたりの目の前には起きたばっかりでまだ眠たそうな百合が
不思議そうにふたりを見ていた。
「あれ……なんで太輔、九条くんの胸ぐら掴んでるの……?」
「っ……」
太輔は和真の服から手を離した。
百合は、全く気づいていない……?