藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第10章 ♡Story57♡ 嫌いな敵
太輔side
「お前……今何してた?」
「っ……」
コイツが許せない……もう分かり合えない……
百合がアイツと……
「今キス……してただろ……」
アイツが百合に触れる……
それだけでも許せない……キスしたなら、
なおさらだ……。
「……したけど?
文句あんのかよ……先公ごときが……」
は?
あるに決まってんだろ……
俺の中で、
何かが切れた……。
「っお前……!」
_ぐいっ!
「っ!」
勢いよく九条の胸ぐらをつかんだ。
人の胸ぐら掴むなんて……高校生以来かもしれない……
きっとコイツは、俺を教師とも大人とも思っていないだろう……
ただの敵としか……でも俺だって、
コイツを高校生の餓鬼だとか思わない。
ただの男……
『よく言うだろ、男は狼だって……』
狼だ……。
コイツは、狼でしかない……
もし百合が羊なら、俺は羊飼い……
狼と七匹の子ヤギなら、百合が子ヤギで俺が母親のヤギ……
赤ずきんなら……百合が赤ずきんでアイツは狼、
そして俺は、狼を狩る猟師だ……。
今の俺らは、そういう関係なのかもしれない……。
だから、許せない……。
コイツを、絶対に……。
「なんで……眠っている百合にキスをした……」
まさに狼だ……寝込みを襲うようなことをするなんて……
「はっ?そんなの……」
軽く口角をあげる九条、こういう……
いかにも大人を見下すような態度が気に食わない……
会うたんびに思う……。
「百合が好き、ただそれだけだよ……」
「くっ……」
ふざけるな……ふざけるなよ……!
コイツはどこまでも……ふざけやがって……
陸にも、藤城君にも、有栖川雅にだって……
まだ抱いたことがなかった憎悪が……どんどん溢れてくる……。
なぜこんな奴に俺は……