藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第10章 ♡Story57♡ 嫌いな敵
「ずっと、前から……お前をいていた……」_ちゅっ…
「っ……!?」
今俺は、
何を見ているんだろうか……
俺はその場に立ち尽くすことしかできなかった……。
九条はしばらくして唇を離した。
「お前を……誰にも渡したくねぇよ……」
っ……
ふざける、なよ……お前……
「っ……!」
_ふぁさっ…
手の力が突然入らなくなり、俺は買ってきた花束を床に落としてしまった。
「っ!?」
九条は今ので気づいたのか、勢いよく振り向いた。
「っ九条……お前……」
あの顔を見たらまた怒りがこみ上げてくる……。
「っ……藤ヶ谷、太輔……」
驚いた様子の九条、そりゃそうだろうな……今ままで、
俺に気づいていなかったんだから……
『その九条っていうのが、お前の元クラスメイトだっていうのか?』
『うん。』
『なんでそこまでして気になるんだ?
クラスメイトだってわかるだけじゃ、だめなのか?』
『だめっていうか……九条君にも言われたの。
俺のことを思い出して欲しい、約束を、思い出して欲しいって……』
『約束、この約束がどうしても気になるの……九条君に言っても、
今は言えないって言われて……でも約束があったなら、
私はそれを果たさないといけないんじゃないかって…』
もう、百合の元クラスメートだなんて思わない……。
コイツが百合のことを好きだっていうのは、
前から薄々気づいている……けど、
「っお前……」
『なんで俺がアイツを好きにならないといけねぇわけ?
この俺が芸能人相手に本気になるわけねぇだろ。
そういうお前のほうこそ、アイツのことが好きなんじゃねぇの?』
幼馴染だとか、元クラスメートだとか、弟みたいだろうが……
関係ない……もう、
コイツは……
ただの敵だ……。