藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第10章 ♡Story57♡ 嫌いな敵
太輔side
「じゃあ俺は行きますね。」
「はいはーい!百合ちゃんによろしくです!
あ、花束とか買っていったらどうです?意外とウケいいっすよ!」
「花束、ですか……」
花束か……
まぁ昨日、土産はねーのかって言われたし……買ってくか……
俺は北山先生と横尾先生に別れを告げて病院に向かう前に
フラワーショップに向かった。
「たしか、この先にあったよな……」
花束なんて、初めて買うかもな……
「ありがとうございましたー!」
でかすぎず小さすぎず、邪魔にならない程度にしてもらった。
あとはタクシー捕まえるか……
そしてタクシーを捕まえ光咲病院に向かった。
「奥さんか彼女さんへのお見舞いですか?」
「はい、彼女です。」
俺って、こんなに堂々と言ったことあるっけ……?
初めて言ったような気がする……。
「彼女さん、きっと喜びますよ。」
「ありがとうございます(微笑)」
最近になって、百合がどれだけ俺にとって大切な存在なのかわかってきた。
もう、欠けてほしくない自分の一部だ……。
だから、心のどこかでは絶対に治療を受けて欲しいと思ってる……。
でもそれを否定されたら……
「……。」
(百合は……)
どんな答えを出したのだろうか……
もし、俺と全く正反対のことを言われたら……
ちゃんと、心の底から受け入れることができるだろうか……。
百合に早く会いたいという気持ちと同時に、
不安な気持ちも大きくなってきた。
_光咲病院
「さて、と……」
(裕太くんとかも来てんのかな……)
「あ、藤ヶ谷さんですよね?」
「はい、確か……伊野尾さん?」
「はい。今日はよく百合さんのお見舞いに来る人多いですよ(笑)」
「今も、誰か来てます?」
「さぁ……僕が最後に見たのは、同じ学校の人でしたよ。」
「陸達か……」
(陸達がいるってことは、多分九条も……)
そう思うと、不安な気持ちが一層増えた。
そんな不安を抱きながら俺は病室に向かった。