藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第10章 ♡Story57♡ 嫌いな敵
百合side
私はあれきりすっかり熟睡。
そして夢を見ていた……太輔と、一緒に過ごすごく普通の日常……。
あの日常は、いつまでも続かないんだよね……私、
死んじゃうんだもん……。
でも……
太輔……大好き、だよ……これからも、ずっと……
『俺も、ずっと大好きだよ……百合……』
愛してる……。
「愛してる……。」
「百合……。」
和真side
「百合……」
アイツは確かに言った……『愛してる。』と……。
アイツを、愛してると……。
コイツは、アイツを見てんのかよ……
神城でも、藤城柊でも……俺でも、なく……
藤ヶ谷太輔を……。
「っ……んだよ……」
自分の気持ちに気づいても、遅いってことかよ……
俺だって、昔からコイツの事を知っている……アイツが、
知らないことだって……俺は百合を知ってんだよ……
なんで訳のわからねぇ奴に取られなきゃ、いけねぇんだよ……。
「百合……」
和真は百合との距離を少し縮め百合の頬を手の甲でなでた。
「あの時の寝顔も……」
『まだ寝てやがる……おい!起きろ。
寝過ごすぞ。』
『……ぇ?』
『……ったく、降りる支度しろ。
もう着いちまうぞ。』
『ぅん……』
独り占めできたと思ったあの時の寝顔も……
アイツはもしかして知ってんのか……?
「っ……なんで、あんな奴……」
ますますイライラしてきた……。
「俺のほうが、ずっとお前を……」
好きだ……。
アイツが百合と会う前からずっと俺は……
ずっと俺は想っていた……自分の、今の気持ちに気づく前から……
「百合……
好きだよ。
ずっと、前から……お前を見ていた……」
_ちゅっ…
誰にも、
譲りたくねぇよ……。