第9章 ♡Story５６♡　生への選択

「……。」



「治療を受けないってなると……このまま退院することになんのかな……？」



「どうだろ……でもどのみち、私の体調次第だと思う……。」



「そう、だな……。」



_1時間後


涼介や栄吉達が百合の病室へやって来た。



「っ百合ちゃん……診断結果のことは、裕太さんから聞いたよ……」



「はい、白血病が再発しました。急性骨髄性白血病です。
余命はおよそ１年です……」



「っ１年なんて……」



京子は信じられないというばかりに目に涙を浮かべた。



「っ百合……お前はもちろん、治療を……受けるのだろ？」



「っ社長……私は……」



「……。」



「っ治療を、受け……ません……。」



「「っ……！」」



「っ百合ちゃん……嘘でしょ？
っ裕太さん……」



「嘘じゃない、全部百合が自分で出した答えだ。
俺も、承諾したよ……。」



「っそんな……！！」



「っそう、か……」



「社長の気持ちに添えず、申し訳ありません……
でも、」



「でも…なんだ？」



「今までどおり、仕事をやらせてください。
雑誌も、映画も、番組も！
今受け持っている仕事を、最後までやらせてください……

このことを、ファンにちゃんと伝えたいんです……もちろん、
自分の言葉で……」



「っ百合……」



「責任を持って、最期を終えたいんです……お願いします。」



百合は栄吉に向かって



顔が布団についてしまうのではないかというくらい深くお辞儀をした。



「っお前が治療を受けないというのは……そういう、ことなのか……？」



「はい。
治療を受ければ私はこのまま入院です。
入院となればますますファンの人達に不安を与えてしまいます。
だから、私の体が不自由になる前に……伝えたいんです。
元気な、玉森百合として……。」



「っ百合ちゃん……」