藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第9章 ♡Story56♡ 生への選択
「治療を受ければ、知り合いの人はみんな喜んでくれる……
治療を受けなければ、死ぬまでの1年間はいつもの玉森百合でいられて、
ちゃんとみんなに本当の事を言うことができる……」
ガンのことや……
太輔のこと、も……
「……どの答えが、みんなを悲しまさないんだろ……」
その時…
_こんこん
「っ誰?」
(薮先生?もう面会時間は過ぎてるし……)
「失礼します。」
そして中に入ってきたのは宏太でも慧でなく……
「っ櫻井先生!?」
なんと扉の前にいたのは、去年有栖川雅の屋敷に捕らわれた際に
お世話になった櫻井翔だった。
「お久しぶりでございます。」
「っ櫻井先生が、なんでここに……」
「百合様が入院なさったと言うことを聞いて、慌ててきたんですよ。」
「っそんな!わざわざ……」
「ちゃんと病院には許可を取ってあります。」
「そ、そういうんじゃなくて……(汗)」
「また何か、悩んでいるのではないかと思いましてね……
なにかお悩み事は……?」
「……今まさに、悩んでいるところです。
ガンの治療を受けるか、受けないか……」
「百合様は、生きたいのですか?」
「もちろん、生きたいに決まってるじゃないですか……
でも、苦しい思いをしてまで生きるのか……悩みます。」
「なぜ?」
「……
誰の、為に……
生きればいいのかわからないんです。」