藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第9章 ♡Story56♡ 生への選択
_診察室
「改めて紹介させていただきます。玉森百合さんの担当医、薮宏太です。
もうすでに結果はご存知だとは思いますけど……
百合さんの身体はがん細胞によって半分近くが侵されています。」
「っ……」
「病名は……急性骨髄性白血病、通称AMLです。」
「っ先生……娘は以前、ガンが再発したら余命は1年弱と言われました……
その現実は、変わらないのですか?」
「……はい。治療も何もしなければ、1年持つのがやっとでしょう……」
「っ完治は、しないんですか……?」
「治療法はもちろんあります。ですが、今の百合さんの状態では完治はしません。」
「っ……」
「百合……」
百合は太輔の服の袖を掴んだ。
「……主な治療法としては化学療法です。
ですが、ご存知のとおり副作用も当然出ます。」
「……それで、私は助かるんですか……?」
「もちろん治療を受ければ、長く生きることができます。
ただ……完治はしないということで、延々とこの病気と闘っていくことになります。」
「……。」
「中には、治療を受けず寿命を待つという方もいます。
ですが百合さんはまだお若いですし……
少しでも希望を持っていただけたらなというのが、我々の考えです。」
「……。」
「治療するかしないかは、百合さんやご家族の方と相談して決めてください。」
「……わかりました。」
_病室
「……。」
(どのみち、私の病気は完治しないんだよね……)
「百合……貴女は、どうしたい?」
「よく…わからない……」
「そう……そうよね……」
「……。」
「お母さんや太輔は、どう思ってるの……?」
「どう、思ってるって……」
「貴女の、判断に任せようって思ってるわ……」
「……そっか……」
「……百合「ちょっと、一人で考えさせてくれないかな?」
……わかったわ、百合……」
「百合…「明日には、答えを出すから……」……。」
「……行きましょう、太輔くん……」
「……はい……」
太輔と有希子は病室を出ていくことにした。