藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第9章 ♡Story56♡ 生への選択
「……九条くん、一体何を持ってきたんだろ……」
「百合、開けてみたらどうかしら?」
「うん、そうだね。」
百合は紙袋から弁当箱のようなものを取り出した。
「……お弁当?」
「弁当なんてまたなんで……ぁ、」
(もしかして……)
「藤ヶ谷先生?なにか心当たりでも?」
「……。」
(あの時確か、弁当作ってたっけ?
もしかしてそれ……)
「あら、和真くんお弁当作ってくれたのかしらね?」
「……あ、これ……」
「ん?どうしたの百合?」
「これ、こないだ九条くんと作ったやつと同じだ……
作り方、覚えてくれたんだ……(微笑)」
嬉しそうに頬を染める百合。
どうやら和真が持ってきたというのは
以前和真がお邪魔していたときに作っていたお弁当と同じものだった。
「……ぁ、メッセージカードも入ってる……」
「見かけによらず繊細な子ですね、九条君って子。」
「……。」
「太輔君、顔に出てるわよ(笑)」←
「太輔は気にしすぎ(苦笑)
分けてあげようか?おかず。」
「いらない。」
「……。」
(子供みたいに拗ねてるし(笑))←
ちなみにメッセージカードには…
早く元気になれよ
お前いないと、学校もつまんねぇし
志村はうぜぇし…
待ってる…。
九条和真
「九条君らしいって言ったららしい文章(笑)」
「ちょっとは元気出たか?」
「うん!太輔はないの?手土産。」
「あるわけねぇだろ。」
「ちぇぇ……」
「百合、大輔君が来てくれただけでもありがたいって思いなさい(苦笑)」
「……。」
「ったく、お前って奴は……」
「いつもの雰囲気に戻ってきてよかったです(微笑)
それじゃ僕は行きますね。家族水入らずを邪魔しちゃいけませんから。」
「あらやだ(笑)」
「っちょ家族って……!」
「藤ヶ谷先生も、家族みたいなもでしょ?
それじゃあ失礼します。」
渉は荷物をまとめると会釈をし病室を出ていった。
「……。」
太輔はすっかり固まってたのだった。