第10章 ♯9
・・・・ネス班長は私の言葉を小娘の戯言だと思っただろうか。
否、班員全員をよく見抜き、少しの変化も見逃さない彼なら、私の決意が伝わったはずだ。
段々と冷たくなる彼の手が、克明に人間の“死”を、私に与えてきた。
それから目を逸らしたくて私はその手を離し、ネス班長の顔を見つめた。
班長の愛馬であるシャレットは彼の髪の毛を齧る癖があった。頭を保護するために巻いていたバンダナは彼の血で真っ赤に染まっていた。
貴方の周りはいつも笑顔で溢れていて、貴方の優しさにみんなが救われていました。
は模範生だが、他人の手本になるように心掛けているように見える。
もっとお前のやりたいように、自由にやっていいんだよ。って笑ってくれたこと、忘れません。
「・・・ありがとう、ございました」