第6章 戯
「あのォ、通してもらえます?」
今までと違うのは。
階段を完全に塞いだ姿勢で、眠る姿。
以前、注意を促した自分自身を思い出す。
「大通りから見える場所に寝てはいけません」
帯刀しているとはいえ、あなたは女の子なのよ。
危ないから。
男は皆、オオカミだから。
帰りを待つときは、踊場よりも上で待ってなさい。
「もっと、こう、上からも下からも、跨ぎやすい状態を保てないものかね?」
アレが効いてる?
膝の角度が不十分で、寝にくそうだが。
ある意味、跨ぎやすい高さではある。
「ったく、しゃーねーなァ」
不本意ではあるが。
俺は女を肩に担いで、残り数段を上る。
小脇に抱えてもいいが。
段差におでこ、打ちそうだから。
玄関を開けて。
視線を上げる。
モップ掃除中の、新八と目が合う。
「おかしくないですか?」
あ?
俺の何処がおかしいって?
天然パーマは生まれつきだ。
俺のチャームポイントに文句あんのか、コラ!
合っていた視線を外して。
「……階段に落ちてんのを拾っただけだ」