第6章 戯
新八を帰して。
肩に担いだ女をソファに降ろす。
腰にぶら下がった獲物を外して。
それから、和室の障子を開け放つ。
押入れから、布団を引っ張り出して。
出来うる限り、静かに敷いた。
疲れているのか。
女は起きる気配がない。
このまま大人のランデブーと洒落込めればいいけどね。
俺が知りたいのは、コイツの肚の中だ。
逃げといて。
行き着いた先が万事屋?
いつから此処で待ってんの、お前は。
あんな顔見せておいて。
ドS心擽って、俺にどうして欲しいって?
「その口で、早く言っちまえ」
助けを乞うでも。
許しを乞うでも。
好きにすればいい。
聞くだけ聞くけど。
全部叶えてやるってのは、心意気であって。
全部叶えてやれるかは、内容にもよる。
一応、注意事項として付け加えとくから。
「つーか、どんだけ寝るの、この娘は」
ソファから布団に運んで。
危機感皆無の姿を。
その横に寝そべって眺める。
よく見れば、寝顔にはあどけなさが残っていた。
実年齢は、俺が思っているよりも下かもしれない。
規則正しく上下する胸元を確認しなければ。
等身大の人形が寝てるみてェだ。
どれだけそうしていたか。
頭を支えていた腕が痺れた頃。
僅かに身動ぎをして。
長い睫毛が、数回の瞬きをする。
「お目覚めですか、お客様?」