第1章 機械の噂
「…僕ね、女性には基本優しくするのね。
でも君には優しく出来ないかな」
「しなくて結構」
「僕は…」
ppp…。
「鳴ってる」
「…ごめんよ。
はい、神崎。
………分かりました、すぐ行きます」
PHSを切ると背を向けた。
「僕君のこと認めないよ。
例え腕が良かったとしても、人として認めない」
それだけ言うと走り出す。
「…どうでも良い」
どちらにしろ、ここに私の居場所はないのだ。
オペも出来ず、書類整理ばかり。
これでは腕が死んでしまう。
小さく息を吐くと書類に向かった。
対して必要性のない、なくても問題はない書類に。
この頃の神崎は表向きにはニコニコしてたけど、人が居ないところではこんな調子だった。