第7章 決断
昨夜は早めに帰り、奥さんと話した。
ちゃんと向かい合って話すのは、いつ以来だろうか。
「…僕ね、亜城西病院に行きたいんだ。
そこへ行ってドクターヘリを立ち上げる」
「そ、そんな急に…!
家はどうするの?わたしは?」
「僕は向こうに越すよ。
宿舎に泊まることが多いだろうけど。
君は…佐知子は、好きにして良い。
着いて来いとも、待っていろとも、言わないから」
「そう………でも、ここで別れたのならわたしはきっと最低な女でしょ?
反対しても、最低。
自分の主人を応援してあげられない、妻として…そんなの…」
僕の奥さんは優しい。
相手のことを第一に考え、行動する。
「僕のことなんて抜きに考えてごらんよ」
「わたし…は…………。
わたしは、純さんに着いて行くことも、ここで純さんを待つことも…どちらも出来ない…。
…寂しいの…わたし……」
声を震わせ、精一杯の言葉を紡ぐ。