第5章 そういう社会
「ん、今日は午後からなの」
「ふーん。
神崎は…」
「ん?」
「神崎は…なんでここを選んだ訳?
神崎なら色々なところから推薦来たでしょ」
「大した理由はないんだけどね、単なる憧れ…かな」
照れた様子で頬を掻く。
「憧れ?」
「そう。
ここは最先端の医療センターでしょ?
だからそういう場所で働いてみたいっていうか、やるからにはちゃんとやりたいなって」
「他の推薦蹴ったんだ」
「まぁね。
神那ちゃんだって推薦来てたでしょ?」
「…一応」
「いくつ?」
「それ知る必要ある?」
「ちょっと気になっただけだよ」
「両手の指ぐらい」
「わ、僕より多い」
「興味ない」
「相変わらずだねぇ。
ここからも推薦?」
「そう」
「来て失敗だった、と僕は思ったけどね。
あ、でも神那ちゃんに会えたから全くって訳じゃないよ」
「ふーん」