第5章 そういう社会
「良いの?神那ちゃん」
カンファレンス後、1人図書室に向かうとそこにはすでに神崎の姿があった。
「難しいオペだったんでしょ?
それを全く立ち会ってない人の手柄にされるなんて、納得いってないんじゃないの?」
「別に。
そういう世界でしょ、ここは」
そう、そんなことは当の昔に分かっていたことなのだ。
それを知った上でこの業界に入った。
今更驚きも、怒りもない。
上に立つ人間なんて、皆そういうもの。
「ふーん。
その割には納得出来ないって顔してるけどねぇ」
「してない」
勝手に決めつけないで。
「神那ちゃんは割り切ってるかもしれないけど、少なくとも僕や青島さんは納得いってないよ。
表面には出さないけどね、僕干されたくないし」
「それは私に対して言ってる?」
ニコッと冷めた目で神崎を睨む。
「じょ、冗談だってば!」
「そんなことよりオペは良いの?」
いつもギッシリ詰まってる癖に。