第1章 機械の噂
「神那先生と神崎先生が初めて会った時のエピソードを教えてくださいよ」
昼休憩の談話室、口を開くのはやはり水原。
「興味ない」
水原の残留、青島の転科が決まってから数日。
救命は順調に機能している。
「えー、参ったなぁ」
神崎純。
脳神経外科を専門とするフライトドクター。
振る舞いは軽薄だが、治療速度と耳に関しては尊敬出来る。
「そんなこと言わずに、教えてくださいよー」
水原紫音。
元々は内科医で救命はここへ来るまで未経験。
現在フライトドクターになるべく研修中のフライトドクター候補生、通称フェローシップ。
どんなに辛くても折れない力がある。