第2章 機械の実力
翌朝、いつも通りの時間帯に出勤する。
といっても医局に私の場所はない。
「お、霜月じゃないか。
おはよう」
「…青島」
「相変わらず呼び捨てだな、まぁ構わんが。
実は霜月に頼みがあるんだ」
「他を当たって」
「そういう訳にもいかん。
な?頼むよ、話だけでも聞いてくれないか?」
「…」
「実はオペを頼みたいんだ」
沈黙を了承と受け取り、口を開く。
「私に頼んで、自分の首を絞めることになっても知らないよ」
「大丈夫だ。
これは上の決定だからな」
「どういうこと?」
今までそっちがオペをさせないようにして来たのに。
「実は今回のオペは院長の娘さんなんだ。
うちの外科じゃ誰も執刀したがらない」
要するに何かあった場合は全て私の責任って訳ね。
「腫瘍が摘出しにくいところにあってな。
患者からも女性の執刀医が良いとのことだ。
引き受けてくれるな?」