第1章 季節はずれの桜の木
夢主(妹)は少年から手を離すと、竹刀を手に構えた。
「お姉ちゃん!」
夢主(姉)が影から走ってくる。そして、少年に正面から抱きつきかばう。
もうお互いの間合いまで詰め寄られていた。
白髪の化け物のような男は笑いながら刀を振りかざし、襲ってきた。
「くっ!」
ぎりぎりのところで交わしたが、かすった頬から血が流れる。
本物の真剣だ。夢じゃない!殺されるかも。
誰だ、私の身に起こることはたかがしれてるなんて言ったの!
私だ!まじでごめんなさい!!!
空ぶった刀は夢主(妹)の背後にあった塀を叩き壊した。
っ!なんて力…まともに受けちゃだめだ。
夢主(妹)は白髪の男を見据えると、何とか隙をみつけようと必死になる。
白髪の男は斬れなかったことが信じられないと言わんばかりに怒号をあげ、 再度夢主(妹)に襲い掛かった。
「夢主(妹)!!!!」
夢主(姉)が叫ぶ。
普通の人間の速さとは思えない太刀筋。
----っもうだめだ!!!!!
夢主(妹)があきらめかけた瞬間――――
びしゃり、と音を立てて地面に広がる鮮血。
生ぬるい液体が夢主(妹)の顔にかかる。
「え…?」
どさっ
今まさに襲ってきていた白髪の男が地面に倒れこんだ。