第3章 まさかの手合わせ
いつの間にか、沖田の目の色が変わっていた。
面白がるような表情が消え、殺気が漂っている。
そして、倒れている夢主(妹)に躊躇なく竹刀を振り下ろす。
倒れたまま体勢を直せず、夢主(妹)は横に転がって避けた。
すぐに次の攻撃が夢主(妹)に降り注ぐも、 それをなんとかぎりぎりのところで避けた。
が、やはりその力に負け、竹刀がパアンと割れる音がした。
割れた竹刀は、夢主(妹)の手からはじかれ、場外へ滑っていく。
しかし、沖田は攻撃の手をゆるめる様子は無かった。
…やばい殺される!!
再度沖田が振りかぶったその瞬間・・・
「総司!!」
土方のドスの効いた声が響いた。
その声を無視するように沖田は竹刀を振りおろす。
「!!!!!」
その場にいた全員が息を飲んだ。
夢主(妹)も咄嗟に目をつぶる。
私死ぬ…!!!
………
………………
………………あれ?
夢主(妹)がそーっと目を開けると、今にも当たりそうなすれすれの位置に竹刀が見えた。
沖田の表情を伺うと、試合前の楽しげな顔だった。
「てめえ、ふざけるなよ。誰が殺せっつった!」
土方が沖田に詰め寄る。
「やだなあ。僕が本気で殺すわけないじゃないですか。土方さんは心配症だなあ。」
沖田は夢主(妹)に向かって一礼すると、笑いながら土方を見た。
「思いっきり目の色変えやがって!いつもならそのままぶったたいてる場面だろうが!!」
土方の怒号に、唖然とその成り行きを見ていた周りも我に返った。