第2章 不安と殺気と事情聴取
夢主(姉)は無表情のまま、袴の紐を解いた。
すとん、と袴が落ち、白くて細い足が露わになる。
一同は金縛りにあったかのごとく、物音ひとつさせずにその様子に釘付けだった。
そして着物もぱさりと脱ぎ捨てられ、夢主(姉)の白い肌が露わになった…が、そこは現代人、キャミソールにショーツは着用しているのでご安心を。
それでも男達には刺激が強すぎる。
全員が息を呑んでその様子を見守っていた。
夢主(姉)が、あ、やっぱりこれだけじゃだめ?とばかりに、キャミソールの裾を持ち上げ、へそをのぞかせたあたりで、
「もういい!!!…十分だ…」
土方の制止が入った。
夢主(姉)は着物を拾いあげて元の位置に戻る。
その様子を夢主(妹)は苦笑いで見ていた。
「…というわけだ。皆文句はねえな」
土方に睨まれ、永倉は決まりが悪そうに引っ込む。
「すまない…ここまでさせてしまうとは…」
近藤は心底申し訳なさそうに袴の紐を結んでいる夢主(姉)を見ないように目を伏せて言った。
その言葉を聞き、夢主(姉)はさっと着物の袂を合わせ、、近藤ににっこりと笑いかけた。
「夢主(姉)ちゃん…ごめんね。こんなこと一人でさせちゃって。」
千鶴が目に涙を溜めながら夢主(姉)に言った。
「大丈夫だよ。減るもんじゃないし。」
と、笑顔で夢主(姉)は応えた。
「こいつらが少なくとも性別じゃあ嘘はついてねえことはわかった。だが、男だろうが女だろうが、性別の違いは生かす理由にはならねえ。」
土方は流れを戻すために厳しい声を出した。
ひえー…今ので忘れてたけど、命の危機だった…と、夢主(妹)は脱力する。
「そっちのお前の事情はまだ聞いてなかったな。」
そのまま千鶴を見やる。
千鶴はびくっと肩を震わせた。
「はい…」
「話しが遅くなって悪かった。聞かせてもらおうか。話してえ事情ってやつを。」