第2章 不安と殺気と事情聴取
斎藤に連れられ、夢主(姉)が広間に姿を現した。
夢主(妹)たちが入った時の殺気だった様子と違い、好奇の眼差しがそそがれる。
夢主(姉)はそれを意に介さず、促されるまま夢主(妹)の隣に座った。
「君達が大変な事情を抱えていて、しかも女子だとは知らずに無礼を働いてしまった。すまなかった。」
近藤が申し訳なさそうに夢主(姉)を見た。
夢主(姉)はにこりと笑って近藤に答える。
「いえ、こんな格好をしていますし、仕方がありません。お心遣いありがとうございます。」
「女だ女だってさっきっから言ってるけどよ。そんな証拠はどこにもないわけだろ?こいつらの話しを鵜呑みにするのもどうかと思うぜ?」
先ほどから「実は女子だった騒ぎ」をイライラした様子で眺めていた永倉が、腑に落ちないぜ、とばかりに口をはさんだ。
「…証拠?」
夢主(姉)が笑顔のまま永倉を見返す。
「証拠も何も一目瞭然だろうが。何なら脱がしてみるか。」
原田が冗談だけどよ、と頭をかく。
「許さん、許さんぞ!衆目の中、女子に肌をさらさせるなど言語道断!!」
「いや、でもよー。あいつらを振り切れるくらい強い女なんているか?逃げるための言い訳なんじゃねえの?」
近藤が顔を真っ赤にして主張したにも関わらず、永倉がしつこくくいさがる。
すると、さっきまでつまらなそうにしていた沖田が眼をらんらんとさせて前に出てきた。
「新八さんの言うことはもっともだよね。脱がせてみるのが早いんじゃないかな。この子とか。」
得意スマイル全開で夢主(妹)の目の前しゃがみこむ。
…この人、絶対わかってて言ってる!ちっくしょーいじわる虫め!!
夢主(妹)はキッっと沖田を睨んだ。
沖田はそんな睨み顔もおもしろいといった様子でいる。
そのとき、夢主(姉)が立ち上がりすっと前に出た。
先ほどまでの笑顔と打って変わって夢主(姉)の表情は真顔だ。