第2章 不安と殺気と事情聴取
心の中で夢主(妹)は本当の父を思い浮かべていた。
ごめんお父さん…死んじゃったことにしちゃったよ…帰ったら肩もみするからゆるしてね…
「健気じゃないか!たった一人の家族を助けるために逃げているなんて!」
近藤は感極まったように目を潤ませている。
そんな近藤の姿に、夢主(妹)の良心がチクリと痛んだが、それどころではないから、ちょっとだけその心はほっておくことにした。
「お姉さんもここに呼んでくれないか?そんな大変な折、粗野な扱いをしたことを謝りたい。」
近藤が土方を見て頼みこむ。
それを聞いて土方は深いため息をついた。
「…斎藤。呼んでこい」
斎藤は土方の命に頷き、すばやく部屋を出ていった。