第2章 不安と殺気と事情聴取
ああやっぱり。
この人たちは私たちを男だと思ってたのかぁ。
「今、部屋に一人で残っているのが姉です。私達は姉妹です。」
「えー!!!まじでー!!お、女ーーー!?」
藤堂の声が広間に響いた。
ちょ…さっきの千鶴のときの私と同じ反応だし…
ちょっとへこむわ…
藤堂の様子を見て夢主(妹)が脱力する。
「平助うるせぇ!見りゃわかんだろうが!」
叫ぶ藤堂を土方がうるさそうにさえぎった。
「そんなもんわかるか!普通女は袴なんてはかねえだろうが!!」
永倉もおおいに取り乱している。
「…ちなみに、こっちのこの子も女の子です…けど…」
夢主(妹)が千鶴に目配せをしながら言った。
「えーー!!まじでーーーーー!!!」
藤堂が再び叫ぶ。
だから…!私と同じ反応だとへこむって!!
「やはり、こんなかわいらしい女子(おなご)が、何故夜中に袴姿をしていたんだ。」
近藤は心配を表情に出して言う。
「女の子でも男の子でも、僕たちが判断することは変わらないと思うけどな。」
沖田はつまらなそうに壁にもたれている。
広間内は、話しを聞くどころではないくらいざわついてしまった。
「うるせぇ!んなことぐらいで騒ぐんじゃねえよ。聞きたいことが聞けねえじゃねえか!」
その様子を見て、土方が苛立ちに声を荒ると、部屋中がしんと静まり返った。
「…袴のこともそうだが…総司と斎藤の話しじゃ、おまえ相当腕が立つそじゃねえか。…剣術はどこで覚えた?」
土方は気を取り直して夢主(妹)に問いただす。
「…父が剣術道場をやっていました。それで幼い頃から習っていました。」
ボロが出ないよう必要最低限の言葉で返す。
「じゃあ、あの姉貴もお前くらいできるのか?」
「いえ、姉も一緒に習っていましたが、あまり好きではないようで…」
「…」
姉の人を食ったような態度を思い出していたのだろう。
土方は苦笑している。
「そうか!君の父君も剣術の師範だったのか!…その父君は今…?」
近藤が感激したような笑顔になる。
「…父は、つい最近他界しました。それで、生前の父の借金が発覚して…」
「姉貴が遊郭に売られるって話につながるわけか」
「…はい」
嘘だけど…と夢主(妹)は心内で舌を出す。