第2章 不安と殺気と事情聴取
夢主(妹)たちが再び広間に足を踏み入れると、 先ほどと同じようにまた殺気だった視線を皆が向けてきた。
さあ…命攻防戦第二章…気合い入れて挑みますか…
夢主(妹)は背筋を引き締める。
夢主(妹)の後ろから付いてきた千鶴の顔をみて、土方は眉間に皺を寄せた。
「斎藤…。こいつだけでいいって言ったじゃねえか。」
「こちらの者が何か話したいことがある、というので連れて来ました。」
斎藤の言葉にため息をつくと、土方は千鶴の方を向く。
「とりあえずこいつの話しを聞いた後だ。それで良ければ聞いてやる。」
土方の言葉に千鶴はうなずいた。
それを見届けると、土方は夢主(妹)の方に視線を移した。
「もう少しお前の話しを聞きてえってことになった。正直に話せ。疑わしい言動はお前らのためにならねえ。」
土方は夢主(妹)を見据える。
「わかっています。」
夢主(妹)も土方の目をしっかりと見返した。
「まず、どうしてあの時間にあんな場所にいたのか…それを聞かせてくれるかい?」
土方の隣にいた近藤が、気遣わしげに問いかけてきた。
「この子に会うまでは…逃げていました。」
「逃げてただぁ?おいおい初っ端から怪しいじゃねーか!」
永倉が口を出す。
「一体何から逃げてたんだよ?」
原田も訝しげに問いただす。
「…借金取りからです。姉が遊郭に売られそうになったのを助けて、一緒に逃げていました。」
「…姉?姉ってーのは誰のことだ?」
永倉が首をかしげながら聞き返した。