第9章 1864年【後期】 門出の時
きっと…きっと皆、私達の「未来から来た」なんて話、100%納得しているわけでも、理解しているわけでもないのだと思う。
それでも、信じてくれたのは…私達の中にある何かを信じてくれたからなのかな。
理屈じゃない何か…はよくわからないけど。
そして私達が今まで通り居られるように、細やかな気配りをしてくれたんだなって分かる。
「許さないよ」っていう言葉で凍りついた私達をうれしそうにニヤリと笑って見ていた沖田さんだけど、その心遣いがなんだか憎い。
みーんな優しい。
私はここ好きなんだ。
今朝の出来事を思い出して、一人頬を緩ませる。
広間でご飯も今日が最後。
急な話なのに、山南さんと山崎さんがいろいろな方面で行く先を探してくれた。
なるべく新選組から遠く…そしてある程度歳を重ねてしまった私でも、稽古へ行かせて貰える条件も付けてくれる置屋さんを見つけてくれた。
かなり手間をかけて探してくれたツテだから、お顔をつぶさないように頑張らなくては。
多分…っていうか絶対。
明日からは半端なく厳しい日々になるのだろうと思う。
それでも、やっと見つけることが出来た自分の道が目の前にあって、それを送り出してくれる大切な人達が居るんだ。