第2章 不安と殺気と事情聴取
「あー…こわかった…」
緊張から解放され、部屋に入り斎藤が去った途端、 夢主(妹)はへたりこんだ。
怖かったのは少年も一緒らしい。同じようにその場に座り込む。
夢主(姉)はにこにこと夢主(妹)に話しかける。
「ね?大丈夫でしょ?」
「いや、まだまだ全然わからないから…」
あくまでも楽観的な夢主(姉)を見て、夢主(妹)は苦笑する。
ただ、夢主(姉)が笑っていると大丈夫な気がしてくるから不思議だ。
「あの、ありがとうございました。」
少年が二人を向いて頭を下げる。
「私一人だったら…きっと色々喋ってしまって危なかったと思います。」
「いやいや、少年君も同じ考えで安心したよー!」
夢主(妹)は少年の肩をぽんぽんと叩きながらそう言い、夢主(姉)はなぜだかにっこりと微笑んでいた。
さっきまであんなに殺気だった場所にいたとは思えないほどの笑顔に、 少年は戸惑った。
「それより、お互い自己紹介もまだだったよね。それも気持ち悪いし、今のうちに色々話そう?」
「あ、はい!そうですね!」
夢主(姉)はすっと居住まいを整え、少年を見据えた。
「私は苗字夢主(姉)。18歳です。こっちのボーっとしてるのが夢主(妹)。私の妹だよ。えっと16歳かな。」
「やっぱり女の子だったんですね。最初は格好から男の方かとも思ったんですが…あの…私は、雪村千鶴と言います。歳は16になります。こんな格好してますが、私も一応女です。」
「えー!!!まじでー!!」
先ほどまでこの場を夢主(姉)に全て委ね、緊張感から解放されて一人呆けていた夢主(妹)が驚いて飛び起きた。