第8章 1864年【後期】決意の時
「伊東参謀に夢主(姉)君の存在は隠すつもりなのでしょう?」
「近藤さんは心酔しきっちまってるみたいだがな。俺はそうもいかねぇ。手の平全部見せるつもりなんざねぇよ。」
「副長らしい考えで安心しましたよ。それならば彼にも?」
「ああ。一番適任なのはあいつしかいねぇ。…そう考えればいい頃合か。」
夢主(姉)を島原へ。
新選組からしたら願ったり叶ったりな申し出だが…なんであいつはそこまでするんだ?
それに一つひっかかることがある。
再び二人は黙り込み、それぞれ考えを巡らせる。
「山南さん、あんたも聞きてぇことは同じだろ?」
「ええ。今副長が考えていることとさほど違いはないように思います。」
そして、お互い核心には触れずにそう言葉を交わし、副長と総長…二人だけの会議を終えた。