第2章 不安と殺気と事情聴取
「へぇ…。君、やっぱり意外とやるんだね。」
その様子を見ていた沖田が笑いながら近づいてくる。
全身に殺気を纏いながら、夢主(妹)の目の前にしゃがむと顔をギリギリまで近づけてきた。
「でも君、僕達が現れる前まで、うちの隊士と戦ってたよね。あれはどういうこと?」
笑っているのは口元だけ。
目は厳しく夢主(妹)を見据える。
「…刀を向けられれば応戦するのでは…?」
その眼差しに気圧されそうになりながら、夢主(妹)は話しを混ぜっ返す。
「…戦ってたっていうのはどういうことだ総司。聞いてねえよ俺は!」
土方が険しい顔つきで沖田に尋ねた。
「僕たちが到着する前まで、こっちの子は竹刀でうちの隊士とやりあってたんですよ。」
「竹刀で…?…よく殺されなかったな。」
土方は、驚いた表情で夢主(妹)を見た。
「じゃあ、やっぱりお前は見ちゃってるんじゃねえか?」
永倉が夢主(妹)をわざと睨んで見せる。
「ほうらやっぱり、殺しちゃいましょうよ。口封じにはそれが一番てっとり早いじゃないですか。」
その様子をみて、近藤がたしなめるように沖田を見た。
「…総司、物騒なことを言うな。」
その言葉を聞くと、沖田は困ったように目を伏せた。
冗談ですよーと言う沖田をそのままに、土方が夢主(妹)に声をかける。
「おい、お前。お前はどこまで見て、どう思ったんだ?」
土方は夢主(妹)を眉間にしわを寄せながら、じっと見ていた。
その目はまるで「しくじるな」と言っているようで・・・夢主(妹)はその眼差しをそう受け止めた。