第2章 不安と殺気と事情聴取
井上に案内された部屋には、いかにも強靭な男達が集まっていた。
三人が入った途端に突き刺すような視線が一斉に向けられる。
…こっわ。
夢主(妹)は思わず身を竦めた。
「おはよう。昨日はよく眠れた?」
最初に声をかけてきたのは、昨夜終始楽しそうにしていた男だった。
昨日と変わらず楽しそうな笑顔をしている。
「体中痛いです…。縛られて寝るの初めてだったから…」
夢主(妹)が応えた。
その回答の何がおもしろかったのか、その顔にますます笑みが広がる。
「ははは!大胆な発言だね。じゃあ慣れるように毎晩縛るようにしようか?」
夢主(妹)はまったくわけがわからず、助けを求めるように夢主(姉)を見た。
夢主(姉)は夢主(妹)を哀れむようにまゆを下げて苦笑している。
「…総司、からかうのはその辺にしておけ。相手にするな。いつものことだ。」
止めに入ったのは、昨日「一君」と呼ばれていた冷静だった男。
落ち着き払ったその様子は、やはり昨夜と変わらず冷めた雰囲気で包まれている。
…昨日は混乱してて気づかなかったけど、
「一君」はきっと斎藤一で、「総司」は…沖田総司かな…?
斉藤一はともかく…沖田総司は小説とかとイメージ違う〜!
もっとこう、繊細そうな儚げなかわいらしい青年かと思ってたんだけどなぁ。なんかすごーく意地悪そう。
あ、でもとある小説には割りと大きめで飄々としてるってかいてあったっけ?ま、小説なんてそんなもんだよね。
夢主(妹)が二人を見ながらそんなことを考えていると、 聞き覚えのある低い声が部屋に響いた。
「…おいてめぇら。無駄口たたいてんじゃねぇよ」