第7章 1864年ー元治元年ー【後期】
久々に会ったお姉ちゃんといろいろ話をしたかったけれど、すぐにまたどこかへ行ってしまった。
「ありがとう。ねえ…夢主(妹)―――…」
部屋へ戻って汗を拭きながら、お姉ちゃんに言われたことを思い出して、ぼーっと考える。
土方さん達と共に長州の残兵を追いかけて天王山へ行って…
「長州の奴等、切腹して果ててたぜ」
しんぱっつぁんからそれを聞いた土方さんは敵ながら見事だと言っていた。
追いかけていた新選組としてはよくないけれど、その潔さを認めるには敵も味方もないと。
そして、あの変な殺気のヤツに罵倒された「手柄探し」についても、
「手柄なんて欲しいにきまってんじゃねぇか」
はっきりそう言っていた土方さんを、
かっこいいなぁ。
単純にそう思った。
きれいごとは言ってない。
もちろん、その裏には苦虫つぶさなきゃいけないことも沢山あるし、命のかけ方も違うのもわかってきたけど。
私もああいう風に生きたい。
汗を拭い終えると、頭もなんだかすっきりしてきた。
「ねぇ…夢主(妹)真剣を持ってどう思った?」
少し遠くを見ながら、私にそう問いかけたお姉ちゃんは、どこか悩んでいるように見えた。
普段悩みのひとつもちらつかせないお姉ちゃんの、そんな表情を見たのははじめてで…思わず言葉が詰まってしまった。
そんな私に気がついて、すぐににこりと笑ってくれたお姉ちゃんは、
「私には重た過ぎるなぁ…」
そう言って、仕事があるからまたね、と立ち去ってしまった。
重すぎるか…
私は……私は?