第6章 1864年ー文久四年・元治元年ー【中期】
明け方、砲声が響き渡り、新選組の隊士達は砲声のする方角へと一斉に駆け出した。
それを会津の役人は止める。
ああもう!またこいつか!ある意味すごい!私なら土方さん怖くてこんなこと言えない。
夢主(妹)は、横槍を入れる役人を見ながらそんなことを思った。
すると、今までずっと怒ることなく落ち着いて説得をしてまわっていた土方が、ついに怒鳴った。
あーあ。キレちゃった。
さすがに・・・怖いな。うん。やっぱり土方さんのことは怒らせたらだめだ・・・
夢主(妹)は、怒鳴る土方を見ながら、うんうんと頷いた。
さすがの土方に怒鳴られた役人は返す言葉を詰まらせている。
土方は、もごもごと言い訳を探す役人の返事など待たずに、その様子を・・・というよりは土方の怒り具合を観察していた夢主(妹)に「行くぞ」と声をかけると、ずんずんと風を切って歩き出した。
行く先は蛤御門。
向かっている途中、山崎がどこからともなく現れ、土方へ各藩の同行の報告が入った。
その報告内容に、皮肉な笑みを浮かべつつ、耳を傾ける。
「自分はこのまま長州の動きを見ます。蛤御門には夢主(姉)君を行かせてあります。」
では、と足早に山崎は去って行った。