第6章 1864年ー文久四年・元治元年ー【中期】
「あ、ごめんね夢主(妹)ちゃん。なんか取り留めの無い話になっちゃって、何が言いたいかわからなくなっちゃった。」
「ううん。話してくれてありがと。そっか長州・・・」
元治元年・・・えっと1864年7月・・・池田屋の後・・・
蛤御門の変?禁門の変?
京都市街がかなり焼かれちゃうんだっけ?
ああ、詳しくなんて全然思い出せない!
年表暗記とかまじ意味ないわ。
ん?京都市街がかなり焼かれる?それってすごく大変じゃん!
「・・・」
夢主(妹)はぐるぐると駆け巡る脳内の情報に、考えこんでしまっていた。
「夢主(妹)ちゃん?」
何やら黙りこんでしまった夢主(妹)に、千鶴は心配そうに声をかける。
「あ・・・ううん。なんでもない。長州、何か起こすのかなって考えてて・・・」
「ごめんね。私が変なこと言っちゃったから。」
「ううん。違うの。なんか考え込むの私の癖じゃん?」
しゅん、とする千鶴に、夢主(妹)は慌ててそう言って、
「私達も頑張ろう!」
と、意気込んで見せた。
「そういえば原田さんに、もし長州との戦が始まって出動命令が出たら、お前も出てみるか?なんて聞かれたんだけど、お留守番してるよ。夢主(妹)ちゃんは行く事になるのかな、やっぱり・・・」
池田屋で沖田を背後から狙った浪士を躊躇なく蹴り飛ばした夢主(妹)の姿を思い出す。
夢主(妹)ちゃんの中にもきっといろんな考えがあるだろうし、葛藤もあるだろうし、私が何か言えることじゃない。
それに・・・
幹部の皆さんからも信頼されている腕を持ってるってすごいことだよね?
毎日あの土方さんのお仕事に付き添っているし。
女の子の夢主(妹)ちゃんがこんなに頑張っているのだから、私もがんばらなくちゃって思えてくる。
「どうだろう。土方さん次第かな。」
千鶴の言葉に、夢主(妹)は少し考えてから答えた。
―――これからは常に俺と来い
土方さんはこう言ってくれた。
私でも役に立てるってことだよね?
池田屋で、夜明けを待つ間にかけられた言葉を思い出す。