第6章 1864年ー文久四年・元治元年ー【中期】
それから俺は境内の階段に腰掛けて、夢主(妹)達の様子を見守る事にした。
「今の踏み込みが甘いです!もっとこう、がっとこないと!」
ぶはっ。がっと てなんだよ。
おもしれー。
でも、結構厳しいじゃん。
「そう!それです!凄くいい感じ!」
隊士の一人がいい動きをみせた時、夢主(妹)はまるで自分の事のように嬉しそうに隊士に笑顔をみせた。
心なしか隊士の頬が赤くなっている。
お?これか?衆道寄りな奴らに人気の秘密は。
俺はにやける顔を抑えられずに様子を見守った。
「今日はここまでにしましょうか。皆さん、ありがとうございましたっ!!」
夢主(妹)が稽古をつけてた隊士に礼をする。
「あ、ありがとうございました!」
まー、あんな程度で惚れられてんじゃ、夢主(妹)もやってらんねえか。
そんなことを考えながらぼーっと見ていたとき、
「あ、ちょっと待って!」
ん?
夢主(妹)が隊士の一人の腕を取り、袖を捲りあげた。
「やっぱり!ちょっと腫れてます。無理しちゃダメですよ。」
そう言うと、ばっと何処かに走っていく。
戻ってきた夢主(妹)の手には、水で冷やした手ぬぐいが握られていた。
「ちゃんと冷やしてください。」
そういいながら、心配そうに隊士の腕に手拭いをあてる。
「あ、ありがとう…」
あの面倒見の良さ・・・
どう考えても日頃土方さんにこき使われてるからだろ。
俺は苦笑しながら見守る。
「よし!大丈夫だと思いますけど、アザが引いたら今度はあっためるようにしてくださいね。」
夢主(妹)が笑顔で隊士の顔を見上げた。
・・・あいつの笑顔は華やかなんだよなー。
手当てを受けた隊士は口元を隠すように腕をおおっている。
ありゃーまたヤバイんじゃね?
俺は女の子の方が好きだからわかんねぇけど、そりゃこんな男ばっかの場所で毎日過ごしてたら男に走るのもありっちゃありなのか。
そんなことを考えてるうちに、夢主(妹)が戻ってきた。