• テキストサイズ

【薄桜鬼 トリップ】さくら玉

第6章 1864年ー文久四年・元治元年ー【中期】


「夢主(妹)ーおまえ、隊士の奴に言い寄られたんだって?」



稽古の最中、少しにやけながらそう言うと、夢主(妹)は真っ赤な顔になって竹刀を構えた。

「平助ー。なぜそれを知っている?」

今にも向かってきそうなほど殺気に満ちている。

「ちょ!待った!悪かった!だからその構えやめろ!」

俺が必死に謝ると、溜息をはきながら竹刀をおろした。

ったく。

マジで誰だよ。

こんな女らしさの欠片もねぇやつに言い寄るとかありえなくねぇか?

あ、そうか。

「お前、男だと思われてるんだもんな…」

「平助!!」

だっ!しまった!

って時にはもう遅くて、俺は竹刀で思いっきり打ち込まれていた。

「いってー!お前さぁ。俺は怪我人なワケよ。怪我人。わかる?それを容赦なく叩くか?普通。」

「当たり前のように傷に触れないような場所狙ったでしょ!私の優しさに感謝して欲しいくらいだよ!」

「ったく。」


そんな風に夢主(妹)とふざけあってると、一緒に稽古をしていた隊士達が数人近づいてきた。


「夢主(妹)君!良ければ我々に稽古をつけてくれないか?」

「本来なら藤堂組長に頼むのだが、傷も癒えていないようだし…」

「いいでしょうか?藤堂組長。」
  
あの池田屋の一件以来、隊士達は夢主(妹)の見る目が若干変わったようだ。

無理もねえ。

夢主(妹)は幹部に紛れて見劣りしないくらいの働きを見せたんだ。

まぁ、俺はこいつがそんくらいは出来ると思ってたけど。


戸惑いながら俺の方を見ている夢主(妹)の姿が映る。

「ああ。いいんじゃねえ?今は他に誰も稽古つけられそうな奴いないし。俺も本調子じゃねえしな。」

「うぇ?私でいいんですか?」


まだ困惑した様子の夢主(妹)に、俺は自信もってこういった。

「お前の剣は基本がなってるしキレイだからな。稽古、つけてやってくれよ。」


その言葉を聞くと、夢主(妹)の顔がみるみる内に明るくなっていく。


「うん!ありがとう!平助!」

そんなに嬉しいかねー。

ま、ほめてんだから嬉しいか。
/ 294ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp