第6章 1864年ー文久四年・元治元年ー【中期】
「平助~。ど、どうだった?私ちゃんとできてた?」
不安そうに聞く夢主(妹)。
「おお。しっかり出来てたよ。あいつらも最後いい動きになってきてたし。」
「良かったー。」
ホッとした顔をして俺の隣に座る。
そのまましばらくぼーっとした。
本当、こいつには気を遣わなくていいから楽だよな。
すると、途端に夢主(妹)の腕が俺の顔めがけてのびてきた。
「ちょ、なんだよ」
「いや、傷の具合を…」
なんだ、傷か・・・と、特に警戒もなく動向を見守る。
すると、その手は俺の額でとまった。
目の前には袖がめくれた夢主(妹)の腕。
うわっこいつ細せー…てか白っ。
なんか本当に男に見えたりしてたから、っていうか女だってこと忘れてたから、そのギャップに驚いてしまい、思わず腕をにぎってしまった。
「…くすぐってーよ」
とっさの言い訳にしちゃあ上出来だ。
「ああ、ごめんごめん」
何故か腕を握ったまま、よく見てみると、手の指も細っこい。
「…なるほどな」
「は?何が?」
夢主(妹)がわけわからんって顔してる。
そりゃそうだ。
「いや、なんでもー。」
こいつが女に見えたなんて悔しいから言いたくない。
「おい。何してる?」
声の方に振り向くと、土方さんだった。
「あれ?土方さん。珍しいじゃん。こんなとこまで。どうしたの?」
「どうしたのじゃねえよ。夢主(妹)に用事があんだよ。ったく遅すぎだ。」
「それでわざわざ?ますます珍しいな。」
夢主(妹)の方を見てみると、何故か下を向いている。
なんだ?ケンカでもしたのか?
「…お前ら。何やってんだ?」
近づいてきた土方さんの声色に怒りの色が入った。
え?何で怒ってんの?とか思ってたら。
握りっぱなしだった夢主(妹)の腕を、土方さんが強引に引き離した。
「…行くぞ」
そのまま夢主(妹)を引っ張って連れて行ってしまった。
なるほどな・・・土方さんは当然知ってるってわけか。
あの細くて綺麗な腕の事を。
「ぶはっ」
これ、土方さんの弱みになるんじゃねえの?
そんな事を考えて思わずわらってしまった。
それにしても夢主(妹)のあの俯きが気になる。
今度花街でも連れてって聞いてやっか!
俺らは友達だ!!よな?