第5章 拘束
それからハビル様が牢に来ることは
なかった。
「くっそ…」
彼なりに考えた答えだったのだろう。
プライドの高い彼のことだ。
振られたことを私に言うことも、
そのまま私にプロポーズすることも、
全て屈辱的だっただろう。
それでも彼は最後には、全てを
私に告げることを選んだ。
王女を妻とし、王を義父と慕って
一生を過ごすことを選んでくれたのだ。
私の「幸せ」とやらを願って。
「なんで出会っちゃったんだろ…」
あのとき私が山に行かなければ。
その前にラビルと会わなければ。
その前に婚約破棄されなければ。
ハビル様にもレオン王子にも
出会わなければ。
こんなことにはならなかったのに。
どうしてこんなにも辛いことが
起こるのだろうか。
「前世で何したよ…?」
君の前前前世から僕は
君を探し始めたよ
レオン王子が前前前世から
私を探してくれていたのならば、
きっとこんなに哀しい恋をせず
簡単に幸せになれたのだろう。
彼は私を探してはいなかったようだ。
「脱走するにも…裸足は辛いな」
見張りの兵は弱っちょろいのだし、
柵だって脆い。
靴さえあれば逃げられるのに。
「ああああもう!!!」
嫌な立場だ。