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好きなだけじゃダメなのか

第5章 拘束


ハビル様が手回ししてくれたようで、
私は思いの外すぐに牢から出された。
すぐに湯浴みをさせられ、
ドレスも新調してもらい、
長すぎる回廊を歩く。

「姉上…」
「何」
「……」
「カノン」

父と母が私に向かって歩いてきた。
おまけに弟も。

「王位継承権第一位が決まりました」

父の側近が表情を崩さずに告げた。

「ハンス王太子殿下に、次期国王として
即位して頂きます」
「へぇ」
「カノン!」
「無理でしょ」
「王女、お口をお慎みください」
「ハンスに王なんて務まるとお思いで?
なんて愚かな王室なのかしら」
「姉上よりも…私のほうが、この国の
ために働ける」
「お前が国王?ハッ。次の王は私だ。
笑わせるんじゃない」
「父上の決定は姉上でも覆せない」
「覆せるさ」
「はぁ?何を言っているんだ」
「口の利き方には気をつけろ、ハンス。
私にはお前を王位継承権第一位から
引き摺り下ろすことだってできる」
「何を馬鹿なことを…」
「お前なんかすぐ殺せるんだ」
「王太子を殺すことが如何に重い罪か
姉上が一番わかってらっしゃるはずだ」
「勿論」
「なら…」
「法を根本から変えればいい話だ」
「カノン」
「父上はおわかりでしょうけれど、
ハンスはヘタレだ」
「わかっておる」
「陛下!」
「女系国王がこれまでにいないのは
お前も知っておるであろう」
「ええ」
「今、戦争直前のこの国で、
国王が異例の女系国王になれば
国民はどうなる?」
「荒れます」
「そうだ。お前は聡い。
王ではない生き方があるはずだ」

そんなこと言われたってね…
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