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23時、エレベーターにて

第3章 3


「そういえば、MOMIKENさん、彼女とかいないんですか」

「え…、何その質問」

「いや、だって、モテるでしょ、かっこいいし…」

「モテない、と言ったら嘘になる…か…な…、いや、とか言うとなんかすごくアレだけど、正直言ってわりとモテ、ます、かな、一応…、別にカッコよくはないけどね」

「私、遊びだったら早めに教えてくださいね」

「ええ、いや、いやいや!!俺、そういうの駄目なほうだから、マジで、自分で言うと何の信憑性も無いだろうけど、普通に真面目なほうだから、そりゃ男だからモテて悪い気はしないけど、好きな人に嘘つきたくないし」

「じゃあ、MOMIKENさんを信じます」

「大船に乗った気持ちで」

「…なんかそれ、最終的には寄りかかった船って感じになりそう」

「ははは!信用ないや、俺」

彼の事、まだ全然分からない。
私は幸せと不安でごちゃまぜになった頭で、なんだか酷い事を言ったように思う。
彼は笑っていたけれど、少し寂しそうに、笑った。

「あの、これから、俺、そういうのとか全部、信じてもらえるように努力するから、よろしくお願いします」

「でも、俺の気持ちに応えてくれて、ありがとう」そう付け加えて、彼は、また、私を抱きしめた。



しばらく抱き合った後、彼に私の化粧がついていないかチェックして、彼の唇に残った口紅をハンカチで拭った。
それから私たちは管理会社に電話して、人を呼んだ。
すぐにやってきた人が、ドアをこじ開け、しばらくしてエレベーターも復旧したようだった。
素知らぬ顔をして、余所余所しい雰囲気で、私たちは別れた。
けれど、交換した連絡先の入ったポケットが嬉しくて、私は廊下を歩きながら、自然ににやけてしまっていた。
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