第3章 新たな契約
翌日
早朝から岩泉と園子は及川に呼び出された
「二人とも。朝からごめんね~」
「だったら早く用件を言え」
「うん。あのさ。音駒って知ってるよね?」
「「!!」」
岩泉と園子は一瞬顔を見合わせた
音駒──通称『ネコ』と呼ばれているマフィア
だがセイジョウとネコは別々の地域のため、セイジョウとネコはさほど接点はない
「ネコが..どうかしたのか?」
「うん。実はね。ネコに同盟を組むことを要求されてるんだ」
「!ネコに..ですか?」
「そうなんだ」
「でも..どうして..」
園子が言うと岩泉がハッとした表情で言った
「烏野..」
「..多分、そうだと思う」
及川は頷いた
烏野──通称『カラス』と呼ばれ、セイジョウと長年争ってきたマフィアだ
しかしカラスは最近、その勢力を落としてきている
特にカラスはネコと古くからライバル関係にあり、ネコとカラスの抗争は「ごみ捨て場の決戦」と呼ばれる
「それにもう一つ。国見ちゃんに聞いたんだけどネコに『ハクチョウ』の子が居るらしいよ」
「「!?」」
国見英。彼は最近セイジョウに入った新人だ
しかし頭の回転が早く、ハッキング等を得意とする
そんな彼からの情報なら間違いないはずだが..
「ネコに..?」
「もしかするとその事かもしれない」
「..園子」
岩泉は園子の頬をそっと撫でた
「岩泉さんっ!?」
「顔、青いぞ。..無理すんな」
岩泉はとても真剣な眼差しを園子に向けていた
「..続けていい?」
「ああ。わりい。続けろ」
「ん。でさ。ネコのアジトに直接いくんだけど、交渉に園子は必ず同行する事が条件なんだよ」