第6章 心言葉
「……シャンを、逃がしたりはしないのですか。 まだ小犬ですし…それに、拾ってきたのは私です。 そんな小さな命でも…救えるものは救いたい。
だから…あの。」
「良いぞ、逃がしても。 シャンは我々に関係の無い小犬だ。 大切に育ててくれる人間が現れるだろう。
きっとな。」
優しく微笑む貴方なのに、どうしてだろうか。
やはり小犬と言っても命が宿っているから私達の会話内容が解らなくても雰囲気で察する事が出来る。
だから…そんなに悲しそうな瞳をしているの?
可哀想なシャン。
誰かに捨てられたトラウマも有るだろうし…また、捨てられるのが恐ろしいのだろう。
同じだ、私と、私達と同じなんだ。
「……シャン。 ごめんなさい…貴方に嫌な思いばかりさせてしまって。 でも、貴方にはまだ明日が有るから。 まだ残っているから…
だから一緒には居れないのよ。」
怒っている? それとも恐怖?
悲しみ? 嬉しさ?
小さな身体からピリピリと流れ出る電気が何の感情かは明確に解りきらない。
まだ、少しだけの時間が有るからその一時を過ごそう、シャンに寂しい思いをさせないように。
私達を覚えていてくれるように。
「おいで、シャン」